東日本大震災の被害と地域の力
石巻は東日本大震災で大きな被害を受けました。マンガロードも多大なる被害を受けましたが、そこから復旧復興を遂げ現在の姿があります。関連する情報をまとめましたのでぜひ一度読んでいただきです。
石巻市の被害
2011年3月11日の東日本大震災は、石巻市の街並み、人々の暮らしを一変させました。
石巻駅を出てすぐに振り返っていただくと駅舎に浸水深表示がありますが、初めて石巻を訪問される方にとって、この場所が津波の被害にあったと想像することは難しくなりました。
被害の概要
○被害者数(2023年3月現在)
石巻市は、東日本大震災で一番多くの方々が犠牲になった自治体です。
石巻市:死者:3,277人 行方不明者:417人
宮城県:死者:9,639人 行方不明者:1,215人
全国:死者:15,897人 行方不明者:2,534人
※警視庁、宮城県、石巻市発表。関連死含まず
〇被災家棟数
全壊:20,043棟 半壊・大規模半壊:13,049棟 一部損壊:23,615棟 合計:56,707棟
※震災前の推定住宅数:74,000棟(76.6%が被災)
〇災害廃棄物処理量
石巻圏:424万t
※震災前の市の年間ごみ処理量:5.8万t(石巻市73年分の廃棄物量)
〇仮設住宅
石巻市内の仮設住宅(プレハブ住宅)は令和2年1月17日をもって、全団地の入居者が退去、閉鎖されました。
《2018年状況》
応急仮設住宅(プレハブ) : 7,122戸
応急仮設住宅(民間賃貸): 5,899戸
復興公営住宅:4,456戸
※詳しい情報は、石巻市WEBサイトの仮説住宅関係の参考資料を参照ください。
マンガロードの被災
石巻中心市街地にも津波が押し寄せ、マンガロードモニュメントも被災しました。
立ち上がった地域の人々
生きるため朝会
震災の4日後から、毎朝8時に商店主による「生きるための朝会」が開催されました。震災直後は、在宅被災者や避難所にいない商店主には行政からの支援が行き届かなかったため、自主的な情報交換会が行われていました。
2011年の3月末には行政からの物資も届くようになり、物資の配分方法やボランティア受け入れ調整などを調整することで、生活再建に向けた協働の足がかりとなりました。
ボランティアの活躍
石巻市には多くのボランティアが駆け付け、1日最大1000人近くが連携して活動することで泥や津波被災物に覆われた街の光景を一変させ、街の人たちを勇気づけました。
市街地のまちづくりに向けた話し合い
まちなか復興会議
市街地には瓦礫が残り、店舗の片付けも終わらない中、被災の翌月に地元の商店主らが主「まちなか復興会議」を設立して今後のまちづくりについて話し合いを重ねました。専門家や街づくり会社と協力して、6月には市長に復興プランに提出したほか、北上川沿いに整備される堤防の高さについて議論をした結果が、復興事業による街並みに反映されています。
コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会
2011年の12月に、行政、有識者、再開発予定地区代表者、町内会、NPOなどにより、「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会」が設立され、今後のまちづくりについてより具体的な話し合いが行われました。
安全・安心のまちづくり
最大の被害を被った地域だからこそ、二度と同じ悲劇を繰り返さないために、他の地域の教訓となるまちづくりを進めよう。地域住民が主体となって住民への意識調査やワークショップ、避難訓練などを実施する「一人一人がつくる安全安心のまちづくり」が行われています。
料理店の震災談義
安全・安心のまちづくり活動の一環として、飲食店の店主が震災当時を振り返り、全国の同業者に向けて「料理店の震災談義」を専門家と共にまとめました。
小規模事業者の事業再建について被災体験者の知見や課題を踏まえた参考資料づくりは全国でも稀な取り組みで、中でも、実践的な「夜の避難訓練」は関東・四国などへ広がりを見せています。
被災を知る・学ぶ
教育旅行や視察に来られた多くの方が「実際に来て、見て、初めてわかりました」と仰います。
自然災害は、あなたにも起こりえます。この町を訪問される方々には、ぜひ、伝承施設を見学し、地域の団体が開催する震災学習プログラムや防災ツアーへご参加ください。
「石巻津波伝承AR」アプリ
「石巻津波伝承AR」は石巻地域の浸水深、震災直後の写真や未来イメージ、生存者の体験談などを複合的に紹介するスマートフォンアプリ(iOSのみ)です。震災の爪痕が分かりづらくなっている市街地を、ガイドがタブレット端末を活用して案内する「語り部」活動にも活用されています。
震災学習プログラム
石巻観光ボランティア協会
お客様のバスなどに乗車し、被災当時の様子や復興状況を語り伝える「大震災まなびの案内」を開催しています。
公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
2011年の東日本大震災後に立ち上がり、現在では、「つなぐ 3.11の学びを生きる力に」をミッションに掲げ、災害時に大切な命が守られる社会を目指して東日本大震災の伝承(語り部)や学校の防災教育、被災者支援の連携などの活動をおこなっています。
震災伝承施設
石巻南浜津波復興祈念公園
国の追悼施設が設置される津波復興祈念公園で、追悼行事をはじめ多様な市民活動を行う場所となっています。
石巻市震災遺構 門脇小学校
津波と津波火災の痕跡が残る小学校の内部を外通路から見学できるほか、東日本大震災の証言映像や実物資料など多様な展示から学びを得ることができます。
MEET門脇
震災を次の世代へ伝承していくための施設。施設内には展示室、シアタールーム、子ども防災コーナーなどがあり、津波避難の教訓を伝えるムービーの上映や、震災を知らない子どもたちが防災について学ぶ震災学習プログラムが実施されます。
石巻ニューゼ
石巻日日新聞が東日本大震災直後に手書きで発行した「6枚の壁新聞」の現物をはじめ、地元の震災関連書籍、震災直後の写真などを展示しています。
「がんばろう!石巻」看板
東日本大震災の1か月後、「津波に負けたくない。地域を励ましたい」との思いで有志により設置され、南浜のシンボルになっています。
東日本大震災メモリアル 南浜つなぐ館
震災前の街並み再現模型や、VRグラス、ドローン映像を使ったシアタールームなど、独自性の高い展示施設を地域と共に運営しています。
復旧した文化財
旧ハリストス正教会
1879年に建立され国内最古の木造教会と知られていましたが、震災で大きな被害を受け、2017年に元の場所に復元されました。
旧観慶丸商店
1930年に建築された多彩なタイル張りが特徴。甚大な被害を受け、2017年に文化遺産に指定され、文化発信拠点として再開しました。