《車がなくても周遊できる!》石巻市の文化を楽しみ、東日本大震災の記憶を追体験するモデルコース

 宮城県石巻市は『仮面ライダー』などの作者である漫画家の石ノ森章太郎先生ゆかりの地。まちづくりにあたっては、マンガ文化を受け継ぐことが大切にされています。水産業が盛んであり「三陸金華山沖漁場」ではいわし・さば・さけなど豊富な魚介類が漁獲されています。
 一方、2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波により市内は壊滅的な被害を受けました。特に石巻市中心部からほど近い南浜地区では、ほぼ全ての家屋が流出。復興計画を推進するにあたっては内陸部へ集団移転が行われた経緯もあります。
 過去から受け継がれてきた文化を大切に継承しつつ、未来に向けて新たなまちづくりを進めていく石巻市。まちなかには、街の文化を楽しみつつ、震災の記憶を追体験できる施設が両方存在します。 本記事では、各施設を施設をめぐるモデルコースをご紹介します。電車・バスで訪れた場合でも、半日で周遊することができます。ぜひ、石巻市の文化に触れる旅に出かけてみてください。

 目 次
 ◾️市内の移動手段
 ◾️モデルコース前編:中心市街地で石巻市の文化を楽しむ
  ・石ノ森萬画館
  ・いしのまき元気いちば
 ◾️モデルコース後編:南浜地区で 東日本大震災の記憶を学び、追体験する
  ・石巻市震災遺構門脇小学校
  ・伝承交流施設 MEET門脇
  ・みやぎ東日本大震災津波伝承館
  ・「がんばろう石巻」看板

市内の移動手段

 仙台駅から鉄道やバスで石巻市の中心市街地へ向かう場合、最寄となる駅/バス停は石巻駅になります。まずは、駅から中心市街地などへ向かう移動手段をご紹介します。

 石巻市の周遊に便利な移動手段はレンタサイクルです。自転車は石巻駅前にある「石巻観光情報案内所」(写真左の建物1階)などでレンタル可能です。営業時間や料金などの詳細はこちらのページをご覧ください!もちろん、各施設へは徒歩で向かうこともできます。
 また、石巻駅から「石ノ森萬画館」、「いしのまき元気いちば」までは徒歩で移動し、南浜地区への移動手段として石ノ森萬画館の近くにある「石巻市かわまち交流センター かわべい」でレンタサイクルを借りて移動することもできるため、旅程に合わせた組み合わせをご検討ください!

 レンタサイクルだけではなく、公共交通機関を用いた移動も可能です。石巻駅からいしのまき元気いちば・伝承施設のある南浜地区へは路線バスが走っています。本数が限られているため時間に注意する必要はありますが、費用を抑えて移動したい場合におすすめ。また、タクシーもあるため、移動時間を短縮したい場合はおすすめです。

モデルコース前編:中心市街地で石巻市の文化を楽しむ

 石巻駅から中心市街地・南浜地区に向かって、順番に各施設を見学できるモデルコースをご紹介します!石巻駅から中心市街地へ向かう道は「石巻マンガロード」として一体的に整備されています。道中には石ノ森先生の作品に登場するキャラクターのモニュメントや大看板が設置されています。ぜひお気に入りのキャラクターを探したり、その雰囲気を楽しんでください!

石ノ森萬画館

1箇所目:石ノ森萬画館(石巻駅から自転車:6〜7分/徒歩:15分)

「石ノ森萬画館」は漫画『仮面ライダー』などの作者である石ノ森章太郎先生のマンガミュージアムです。館内では作品の原画などが展示されています。ほかにも期間限定の企画展が開催されているほか、漫画が読めるライブラリー、短編アニメが上映されるシアター、カフェが設けられています。
石ノ森先生作品の世界観に浸ったり、漫画を読んだり、アニメーションを鑑賞したりとさまざまな楽しみ方ができる石ノ森萬画館。ぜひご自身ならではの楽しみ方で、そのひとときををお過ごしください!

住所宮城県石巻市中瀬2-7
営業時間9:00~17:00
定休日火曜日
入場料大人 900円 / 中・高校生 600円 / 小学生 250円
WEBサイトhttps://www.mangattan.jp/manga/

いしのまき元気いちば

2箇所目:いしのまき元気いちば(石ノ森萬画館から自転車:2分/徒歩:5分)

 「いしのまき元気いちば」は北上川河口にあるお店です。1階の物販コーナーでは、石巻港で水揚げされた魚介類、水産加工品、農産物、お弁当など幅広い種類の食品が取り扱われています。2階のレストランでは、地元で取れた魚を使った海鮮丼、石巻やきそばなど、地域の食材を活用したメニューが中心に用意されています。天気の良い日には、テラス席で旧北上川を望みながら食事することがおすすめ。旧北上川の堤防から直接レストランに入ることもできます。
 市街地の散策の際の昼食スポットやお土産を買う場所にはうってつけのスポット。ぜひ、石巻市ならではの食文化とその味を楽しんでください!

住所宮城県石巻市中央2丁目11-11
営業時間1F物販コーナー:9:00~19:00 
2F元気食堂:平日・日・祝日 11:00~20:00(L.O 19:30)/土・祝前日 11:00~20:30(L.O 20:00)
定休日1月1日
WEBサイトhttps://genki-ishinomaki.com

モデルコース後編:南浜地区で 東日本大震災の記憶を学び、追体験する

南浜地区とは
 石巻市中心部から南へおよそ2kmの地点に、南浜地区があります。東日本大震災が発生する前は、約1,800世帯4,500人が居住する住宅地でした。地震発生後に6.9mの津波が押し寄せ、ほとんどの家屋が流出。現在の南浜地区は災害危険区域である一方で、一部は復興住宅の建設が進み住宅街となり、「石巻市震災遺構門脇小学校」などの震災伝承施設が共存するエリアとなっています。
震災の記憶を追体験し後世に受け継いでいくためにも、中心市街地と併せて南浜地区にも訪れてみてはいかがでしょうか。本記事では、震災伝承に関する施設の概要をご紹介します。

石巻市震災遺構門脇小学校

3箇所目:石巻市震災遺構門脇小学校(いしのまき元気いちばから自転車:8分/徒歩:20分)

 「石巻市震災遺構門脇小学校」は津波火災の痕跡を残す唯一の震災遺構となっています。焼失した教室は新設した外部通路から見学が可能です。併設する展示館では津波被害に関する資料・被災品だけではなく、門脇小学校で使用されていた思い出品などが展示されています。

 津波火災による被災が大きかったことから、津波が発生した際、高い階に逃げる垂直避難だけでは安全を確保できないという教訓や、学校の歴史を後世に伝えている震災遺構門脇小学校。
津波火災によって焼失した教室は、当時のまま残されています。教室や展示されている品々を見学して感じることや、考えることは人それぞれ。ぜひ自分の心と向き合いながら、見学してみてください。

住所宮城県石巻市門脇町4丁目3-15
開館時間9:00~17:00(最終入館16:00)
※11月~1月の最終入館は15:30まで
定休日月曜日
入場料大人 600円 / 高校生 300円 / 小・中学生 200円
WEBサイトhttps://www.ishinomakiikou.net/kadonowaki/

伝承交流施設 MEET門脇

4箇所目:伝承交流施設 MEET門脇(石巻市震災遺構門脇小学校から自転車:1分/徒歩:2分)

 石巻市震災遺構門脇小学校に隣接しているMEET門脇。東日本大震災発生前は「あいのや」というスーパーマーケットがあった場所で、発災10年目に新設された民間施設です。

 震災を知らない世代にも災害のから命を守ってもらえるように、子ども向けの防災学習コーナーが設置されています。また、震災当時幼稚園だった子どもの被災した上靴やご遺族の作成された絵本の展示を通して失われた命の尊さや、今すぐできる私たちの備えの重要性を伝えています。

 1人でも、親子で訪れても充実した体験や学習ができるよう工夫されています。ぜひこの機会に訪れて、日常生活の防災について考えてみませんか?

住所宮城県石巻市門脇5丁目1-1
開館時間10:00~17:00(最終入館16:30)
定休日水曜日
入場料大人 300円 / 高校生以下・毎月11日は無料
WEBサイトhttps://311support.com/learn311/meetkadonowaki

みやぎ東日本大震災津波伝承館

5箇所目:みやぎ東日本大震災津波伝承館(伝承交流施設 MEET門脇から自転車:2分/徒歩:5分)

 伝承交流施設 MEET門脇から沿岸部へ向かった場所に「石巻南浜津波復興祈念公園」があり、園内の中心に「みやぎ東日本大震災津波伝承館」があります。外観は正円形デザインとなっており、屋根が最も高くなっている北側部分は、南浜地区に到達した津波の高さ(6.9m)になっています。

 館内では宮城県内における津波被害の歴史、東日本大震災の被害状況とその復興過程などが解説されています。また、語り部による講話が毎週土曜日に実施されているほか、録画映像により常時視聴することも可能です。
 津波被害の全容を資料をはじめ、建物の外観や語り部の講話などを用いて多様な形で伝えています。語り部の講話を聞き、建物北側の屋根を見上げることによって津波の高さやその脅威を体感的に学んでみてください。

住所宮城県石巻市南浜町2丁目1-56
開館時間9:00~17:00(最終入館16:30)
定休日月曜日(祝日の場合は翌日)※GW期間を除く
年末年始(12/29〜1/4)
※毎月11日は曜日・祝日にかかわらず開館
入場料無料
WEBサイトhttps://www.pref.miyagi.jp/site/denshokan/index.html

「がんばろう石巻」看板

6箇所目:「がんばろう石巻」看板(みやぎ東日本大震災津波伝承館から徒歩:3分)

 石巻南浜津波復興祈念公園の一角に、「がんばろう!石巻」と書かれた大看板が設置されています。
「震災で津波に負けたくない、地域の人を励ましたい」という地元の有志の想いから、東日本大震災発生の1ヶ月後、がれきの中にあった木材を活用して製作されました。看板はそれ以来5年おきに作り替えられており、現在設置されている看板は2021年に完成した3代目のものとなっています。
 現在でも復興のシンボルとなっている大看板。1枚の看板に込められたさまざまな想いを、受け取ってみてください。

住所宮城県石巻市南浜町3丁目地内
営業時間
定休日なし
入場料無料
WEBサイトhttps://www.pref.miyagi.jp/site/denshokan/index.html

まとめ

 最後にご紹介した「がんばろう!石巻」の看板から石巻駅までは自転車でおよそ17分、徒歩で30分ほどで戻ることができます。また、南浜地区から中心市街地へ向かう形でも各施設を訪れることも可能です。

 本記事では石巻市で受け継がれている文化を楽しみつつ、東日本大震災の被害を学び、追体験できる施設をご紹介しました。マンガ文化・水産業・震災復興と、さまざまな街の姿がある石巻市。ぜひ訪問された際は各種施設を一体的に訪れることで、その姿を感じ取ってみてください。

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